たまたまD.A. Norman氏が記した”Human-Centered Design Considered Harmful”(日本語訳はコチラ)という記事を見かけた。最近デザインについて考えることが多かったし、個人的に「人間中心設計」には複雑な思いがあったので読んでみた。 Continue reading “有害な人間中心デザイン”
ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも 行き詰まりを感じているなら、 不便をとり入れてみてはどうですか?

ここ1ヶ月くらい不便益について考えてみてはモヤモヤしている。自分なりにある程度考えるまでは不便益本は読まないでおこうと思っていたのだが、どうもモヤモヤが取れないので「不便から生まれるデザイン」を読んでみた。やっぱりモヤモヤが残った。ここまできたらもはや解禁ということで、川上浩司さんの不便益本の2冊目「ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも 行き詰まりを感じているなら、 不便をとり入れてみてはどうですか?」を読んでみた。
前作では、不便益という概念をまとめるために試行錯誤されている感が本全体から伝わってきたが、本作はコラム・エッセイ的要素が削られ、ずいぶんと不便益が整理された印象を受けた(文章も平易になった)。おかげで僕の頭の中も大分整理することができた。
以下は本作のメモを記す。
Continue reading “ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも 行き詰まりを感じているなら、 不便をとり入れてみてはどうですか?”
不便から生まれるデザイン

行動や態度変容を促すデザインのヒントを考えていたときに、たまたま出会ったのが川上浩司さんが提唱されている「不便益デザイン」という考え方。不便益とは「不便がもたらす効用」を意味する。「乗り物を使った方が楽だが、歩いてみると乗り物に乗っていたときには気づかなかったものを発見できた」など、不便だと思われていることもやりよう、実は良いこともあるのではというのが不便益である。この不便益の考え方をもちいて「豊かな」モノやサービスを作るデザイン手法を川上浩司さんは研究されている。
態度・行動変容のアイデアを生み出すには、常識的な考え方だけでなく不便益のような別の角度の考え方が必要だと思っていた。また「便利を追求することで、実は失っているものがあるのでは」「便利ではなく豊かさを実現するためのデザイン手法は何か」という考え方は、僕の問題意識と通ずるところがあった。
ということで、「不便から生まれるデザイン〜工学に活かす常識を越えた発想」を読んでみた。以下はその際のメモである。
仕掛学

上の写真のように、街を歩いているとあれっと思うところに小さな鳥居が設けられていることがある。これ、「神聖な場所で悪い行いをしてはいけない」という感情を抱かせることで、立ち小便やゴミのポイ捨てを防ぐ工夫だそうだ。
このように、ある仕組みを入れることで、本人が意識しているか否かにかかわらず、人の行動を自然と違う方向に向かわせる方法を「仕掛け」と呼び、仕掛学を研究されている方がいる(松村真宏さん@大阪大学)。
この仕掛け学、僕がやろうとしている気づきの情報インタラクションデザインにも非常に関係があるので、松村真宏さん著「仕掛学〜人を動かすアイデアの作り方」を読んでみた。以下、簡単なメモを記しておく。
仕掛学とは
- 仕掛けとは、魅力的な行動の選択肢を増やすことで、自ずとそちらの行動が選ばれるように仕向ける方法論である。仕掛けられる人の行動を変化させること問題解決を図る方法論であり、仕掛けそのものによって問題解決を図るものではない
- 「したほうが良い」と直接伝えても効果がないことは明らかなので、「ついしたくなる」ように間接的に伝えて結果的に問題を解決することを狙うのが仕掛け
仕掛けを定義する要件
- FAD要件
- 公平性(fairness):誰も不利益を被らない
- 誘因性(attractiveness):行動が誘われる
- 目的の二重性(duality of purpose):仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる
- 誘因性は行動を誘う仕掛けの性質であり、行動変容を強制するものは仕掛ではない。仕掛けが行動の選択肢を増やしていること、および自分の意志で自由に行動を選べることが必要である
- 仕掛けが対象としている本当の問題は明示されていないことが多い。問題を意識することなく興味の赴くままについ行動してしまう
良い仕掛け
- 良い仕掛けと悪い仕掛けを分けるのは、仕掛ける側と仕掛けられる側の双方の目的を知ったときに「こりゃ一本採られた」と笑顔になるかどうか
- 行動と解決する問題の関係が一見すると無関係に見えるときほど、うまい仕掛けになる(仕掛けの副作用性)
- 仕掛けの副作用性は、行動の多義性を利用することで生まれる
強い仕掛けと弱い仕掛け
- 仕掛けに対する反応の強弱は、仕掛けから発生する「便益」と「負担」によって特徴付けられる
- 便益:仕掛けによってもたらされる主観的な感情
- 負担:仕掛けによって行動を変えるときにかかる体力的、時間的、費用的な負担
仕掛けの原理
- 物理的トリガによって心理的トリガを引き起こされ、行動に変化が生じる
- 物理的トリガ:知覚される仕掛けの物理的な特徴
- 心理的トリガ:人の内面に生じる心理的な働き
- 詳細なトリガの分類は書籍もしくは論文を参照

2017年度情報学総論「信頼性と情報システム」の講義資料を公開しました
2017年度情報学総論(山本担当分、6月21日、23日分「信頼性と情報システム」)の講義資料を公開します。講義資料をPC/Macで見たい方は、以下をご覧ください。
2017年度情報学応用論「ウェブ情報の信憑性」の講義資料を公開しました
2017年度情報学応用論(山本担当分、5月22日、6月22日分「ウェブ情報の信憑性」)の講義資料を公開します。講義資料をPC/Macで見たい方は、以下をご覧ください。
「ポスドクになるためには?」と行かれたので
京都を去る前に、ある学生団体から「ポスドクになるためには?」というイベントに登壇して欲しいとの依頼があった。ポスドクを経験した身としては、とても違和感を感じるタイトルである。
長い間放置していたが、イベントで話そうと思った僕が知ってるポスドク情報を下記ページに簡単にまとめてみた。興味のある方はご覧ください。
信頼性とコンピュータ
情報学の分野で情報の信憑性を調べていると、必ず名前が出てくるのはスタンフォード大学のB.J. Fogg氏。学生時代はFogg氏の論文や書籍を読んでは信憑性に関する理解を深めてきた。
信憑性あるいは信頼性に関する文献はいろいろある。このトピックに関する研究は、50年以上前に心理学やコミュニケーションの分野から始まった。一方、情報の信憑性やウェブサイトの信頼性に関しては、Fogg氏の研究にまず当たるのが良いと思う。どんな知見があるか手っ取り早く知りたい場合、Fogg氏の著作「実験心理学が教える人を動かすテクノロジ」を読むのが良いと思う。
以下は「実験心理学が教える人を動かすテクノロジ」の第6章「信頼とコンピュータ」を簡単にまとめたものである(一部、別のソースからの引用も入れている)。 Continue reading “信頼性とコンピュータ”
2017年度情報学総論「ビッグデータ x ITイノベーション」の講義資料を公開しました
2017年度情報学総論(山本担当分、6月14日、16日分「ビッグデータ x ITイノベーション」)の講義資料を公開します。講義資料をPC/Macで見たい方は、以下をご覧ください。
情報システム設計論のレポート課題(6/13分)について
「情報システム設計論」の講義を履修しており、6月13日(山本担当分)の回に出席していなかった学生に連絡があります。
レポート課題について、講義資料では課題1と課題2の両方に回答するよう指示を出しておりますが、指示内容を以下のように変更します:
- 課題1もしくは課題2のいずれかを選択して回答すること
- レポートの回答はメールではなく、他の回のレポート提出時に用いた「学務情報システム」を用いて提出すること
どうぞよろしくお願いします。