情報検索の分野で知られているポジションバイアスを緩和する手法に関する以下の研究成果が,情報処理学会論文誌に採択されました.
庵谷 拓輝, 山本 祐輔: “損失回避バイアスを用いたスニペット表示によるレビュー検索結果のポジションバイアス緩和“, 情報処理学会論文誌データベース(TOD), 15(3), 7-19 (2022-10-13), 1882-7799
気づきの情報インタラクションデザインの研究をしている人
情報検索の分野で知られているポジションバイアスを緩和する手法に関する以下の研究成果が,情報処理学会論文誌に採択されました.
庵谷 拓輝, 山本 祐輔: “損失回避バイアスを用いたスニペット表示によるレビュー検索結果のポジションバイアス緩和“, 情報処理学会論文誌データベース(TOD), 15(3), 7-19 (2022-10-13), 1882-7799
研究室で行った研究の成果として,下記の論文が The 2022 ACM International Conference on Information Technology for Social Good (GoodIT 2022) に採択されました.
後日,詳細な書誌情報を掲載する予定です.
項目反応理論(IRT: Item Response Theory)は,TOEFLなどのような試験の各設問の難易度,および回答者の能力を推測するためのモデルである.基本的な考え方は,回答者の能力と設問の難易度をパラメータとするロジスティック関数をある設問の正解確率と見なし,試験の回答状況は定義された正解確率をパラメータとするベルヌーイ分布に従う,というものである.
パラメータの推定方法は最尤推定法が一般的であるが,バージョン4にアップデートされたPyMCの練習をかねて,MCMCで項目反応理論のパラメータ推定をやってみた.
以下は,Gistに置いたPyMCによるコード例であるである.どうぞご笑覧ください(Github Gistコードへの直リンク).
第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムDEIM2022にて発表した下記2件の研究成果について,最優秀インタラクティブ賞および優秀インタラクティブ賞を受賞しました.
村田百葉, 山本祐輔: 人工天啓: 悩みに応じた心に響く名言検索エンジン
永野里佳奈, 山本祐輔: 芸術作品に興味を促すビジュアルストーリーの自動生成
最優秀インタラクティブ賞・優秀インタラクティブ賞は,インタラクティブセッションにて発表された研究のうち,優秀な発表に対して贈られる賞です.
このたび静岡大学学長から第5期静岡大学若手重点研究者の称号を授かりました.第5期静岡大学若手重点研究者の定義は以下の通りです(静岡大学ウェブサイトから引用)
研究実績,学術業績に優れ,本学の次代を担う研究者として目標が高く,独創性を持ち,新しい流れを起こす,意識の高い若手教員.で,各分野において科学研究費補助金等の外部資金獲得状況,著書・論文数及び知的財産(特許等)を,概ね40歳以下の教員の中から総合的に評価し,第5期は15名を選定.
学会仕事で上記書籍の書評を書くことになった.そのうち会誌に載ることになっているが,せっかくなのでここにも載せておこう.
PCやスマートフォンの日本語入力システムに慣れてしまい,いざ手書きで漢字を書こうとしたときに思い出せないという経験をしたことはないだろうか.本書はオートメーション,特にデジタル・オートメーションの負の側面に関して論じた書籍である.
わたしたちは,人間がやっていたことをソフトウェアに代替させることで,作業の効率化や余剰リソースの獲得を期待している.たしかに,デジタル・オートメーションは,快適さや便利さをもたらしてくれる.今や創造的作業や分析的作業も,ソフトウェアによって代替されつつある.ところが,オートメーションは必ずしも良い方向に働くとは限らない.本書では,認知的,文化的,倫理的側面から,デジタル・オートメーション技術がもたらす負の影響を考察している.キャッチーな書名とは裏腹に,中身は医学,ヒューマンファクター,文化人類学,哲学など,様々な分野の研究事例に基づいた議論が展開されており,骨太な内容となっている.
本書は9章から構成されている.第1章では,オートメーションがもたらす便益とリスクについて概説している.第2章では,ラッダイト運動,フォード社の生産ラインのオートメーション化,第2次世界大戦中の砲兵部隊などの例を通じて,オートメーションが労働のあり方,労働者のアイデンティティに与える影響について述べている.第3章では,飛行機のオートパイロットを例にとり,オートメーションが肉体的負担を軽減する一方で,肉体的負担によって維持されていた運動能力,そして認知能力までもを弱体化させる可能性について述べている.第4章では「生成効果」とオートメーションの関係について論じている.エキスパートシステムや検索エンジンといった意思決定支援システムの例を取り上げ,それらの継続的な利用が認知能力や新しい状況への適応能力を低下させる可能性について,認知心理学的現象から説明を試みている.第5章では,電子カルテとその関連システムの導入事例を通じて,デジタル・オートメーションへの過度な信頼が(利用者の感覚も含め)システムの外にある情報への感度を低下させるだけでなく,因果を見いだすスキルを鍛える機会を奪ってしまうことに警鐘を鳴らしている.第6章では,オートメーションによる脱身体化,および世界に対する認識や所属の感覚の変化について述べている.第7章では,作業の正確さと経済性を拡張する「テクノロジー中心のオートメーション」に対するアンチテーゼとして,「人間中心のオートメーション」を提示している.第8章では,オートメーションに潜む倫理的課題について述べ,最終章では,これまでの話を総括しながら,生産の手段ではなく経験の道具としてのテクノロジーを取り戻すことの重要性を説いている.
オートメーションがもたらす負の側面について様々な角度から議論を展開している本書であるが,そのメッセージは「オートメーションには想像以上に様々なリスクがあるので利用を控えよう,あるいはよく考えて使いましょう」といった単純なものではない.たしかに,労働力の節約のためのテクノロジーは魅惑的である.しかし,著者が述べているように,オートメーションは負担を軽減する一方で,知覚や行動,想像力に新たな道を開く機会からわたしたちを遠ざける.
テクノロジーについての決断は,生活や文化のあり方に関する決断でもある.AIやDXといった言葉が世を賑わしているが,それらは本当にわたしたちを幸せにするのであろうか.人間が生きるにあたって何が重要であるか,そもそもわたしたちはどんな存在でありたいのか — 本書はこう問いかけているように感じる.本書のメッセージをアンチ・テクノロジー派の誇大な主張であると退けるのは簡単である.しかし,AI・DXといった技術に過度な期待が集まっている今日だからこそ,情報技術に携わる技術者・研究者は,人と技術の共生的な関係について,すこし立ち止まって考える機会があってもよいのでは,と思う次第である.
2022年2月27日-3月2日に開催された第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムにて,下記10件に関する研究発表を行いました.
2022年2月28日-3月2日に開催された第26回 一般社団法人情報処理学会シンポジウム インタラクション2022にて,下記4件に関する研究発表を行いました.
11月22日にオンラインで開催されたIDRユーザフォーラム2021で下記研究発表を行い,企業賞を受賞しました.
Yahoo!知恵袋データを活用した悩みの分類と名言推薦
村田百葉,山本祐輔(静岡大学)
IDRユーザフォーラムは,国立情報学研究所の「情報学研究データリポジトリ(IDR)」を通じて提供いただいているデータの提供者と利用者が一堂に会し,直接意見交換できる場を設けることで,研究コミュニティのより一層の発展に寄与することを目的として,2016年度から毎年開催しているイベントです(公式ウェブサイトより).
本年度はYahoo!Japan,楽天などから提供されたデータを活用した発表が39件行われました.今回私の研究室から行った研究発表はYahoo! Japan様,リクルート様,T.M.Community様から評価をいただき,企業賞が授与されました.
2017年度-科研費-若手研究Bもプロジェクトが完了しているので,こちらの研究計画調書(申請書)も公開することにする.2018年度-科研費-基盤研究C(特設分野)の研究計画調書とともに,誰かの役に立てば.
ダウンロードはこちらから(一部のページは非公開).