助教クラスで基盤Bに採択されるかを調べた

10月と言えば科研費申請のシーズン。僕が属していた京都大学学術研究支援室ではURA総動員で申請書のブラッシュアップを行っているのだが、チェックしていた基盤研究Bの研究計画調書の中で「助教」の方が申請代表者のものがあった。基盤研究Bというと教授、准教授クラスが採択されているイメージがあったので、この申請書を見た時、正直これは難しいんじゃないと思った。が、僕がそう思い込んでいるだけかもしれない。というわけで、データを調べてみた。

データソース

人文社会系分野における共同研究の頻度と規模」を調べたときと同様、科研費データベースに収録されている1996年以降に採択された課題を分析ソースとして用いた。科研費データベースのデータでは、課題(研究)内容や申請カテゴリ(例: 基盤研究A)といった情報以外に、各課題が採択された際の申請者の職階(教授、准教授、講師、助教など)も載っているので、これを分析に用いた。

採択者の内訳

図1に「基盤研究B採択者の職階の内訳」に記す。Unknownは所属が確認できなかった採択者を意味している。このUnknownの採択者の実態が気になるが、グラフを見る限り基盤研究Bにおける助教の採択者は全体の0.9%。助手も助教としてカウントしたとしても合計2.0%。1996年から2013年までの採択データを眺める限り、助教クラスで基盤研究Bに採択されている人はかなり少ない。その中でも採択されている助教は相当な強者なんだろうか。


図1: 基盤研究Bの職階別採択者の内訳

 

ちなみに図2に基盤研究A、図3に基盤研究Cの職階別採択者の内訳をまとめた。さすがに2000万〜5000万円程度の研究費を手にすることになる基盤研究Aになると、採択者の大半は教授クラス。きっと大御所クラスの教授なのだろう。助教で採択されている人は全体のわずか0.2%(それでも採択されている人がいるのが驚き!)。

図1: 基盤研究Aの職階別採択者の内訳

 

一方、基盤Cになると採択者の職階は割とばらける。助教、助手は全体の10%程度。助教、助手クラスだと若手研究A、Bに申請する人も多いだろうから、10%という数字は少なくないと思う。

図3: 基盤研究Cの職階別採択者の内訳

 

雑感

審査および評価に関する規程にも書かれているように、助成対象プロジェクトを決めるには「提案内容の新規性や意義」だけではなく「研究遂行能力」や「研究計画」も重要な要素となる。研究遂行能力を評価するに際して、論文の数や職階を見て決めるってことはないだろうとは思うが、上のデータを見る限り、結果的には研究成果が相対的に少なくなる助教クラスが基盤Bに採択されるのは難しいのかなと感じた。

こういうデータが提示されたときに、申請支援に携わるスタッフは申請カテゴリを替えることを勧めるのか、それとも採択に向けて何らかの策をこらすのかも考えどころ。全国のURAのみなさんは、こういうときどうするんですかね?

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