パンダコパンダ

高畑勲氏が監督,宮崎駿氏が脚本・原画等を手がけた作品に「パンダコパンダ」という作品がある.たまたまこの作品を見る機会を得た.

この作品の主題歌(ミミちゃんとパンダコパンダ),サビが大変キャッチーで中毒性がある.作品の内容は覚えていなくても,この歌のサビだけは耳に残っていた.パンダコパンダを見る機会を得たので,この主題歌をじっくり聴いてみたのだが,サビの歌詞が自分が思っていた歌詞と違ってショックを受けた.

昔からサビの歌詞は「パンダコパンダコパンダ」の繰り返しかと思っていた.作品のタイトルも「パンダコパンダ」だからだ.ところがアニメーションを見ながらサビをよく聴いてみると,「パンダ,パパンダ,コパンダ」が正解らしい.ややこしい.

確かに作中には,パン(子どものパンダ)の父親のような役割のパパンダというキャラクタが登場する.しかし,コパンダは登場しない.登場する子どものパンダはパンである.

このサビには納得がいかない.

LIFO

私が所有するパンツ集合を\(P=\{p_1, p_2, …, p_N\}\)とする.パンツの総数は\(N\)である.

あるとき,洗濯物をためてしまった.そのため,今自分が着ているパンツ\(p_i\)と唯一洗濯済みのパンツ\(p_j\)以外,他のパンツが同時に洗濯機に入ってしまったとする.

お風呂に入った後,唯一無二のパンツ\(p_j\)を着る.そして,使用済みのパンツ\(p_i\)を洗濯機に入れ,他のパンツと一緒に洗濯機を回す.洗濯済みパンツのストックが無くなってしまうが,幸い,洗濯したパンツは次の日のお風呂までには乾く.

洗濯済みのパンツが無くなったら危機である.この日から心を入れ替えて,毎日忘れずにパンツを洗濯することに心に決める.

ところで,我が家の洗濯済みパンツ入れは小さなカゴである.カゴに洗濯済みのパンツが積み上がっていく.一番最後に入れられたパンツが一番最初に取り出される.つまり,カゴは”Last in, first out”のスタック構造になっている.これを踏まえて,先の危機の行く末を考えてみる.


唯一無二のパンツ\(p_j\)に履き替えた私は,お風呂に入る前に着ていたパンツ\(p_i\)を含めた\(N-1\)枚の使用済みパンツを洗濯し,乾いたパンツをランダムにカゴに入れる.たまたまカゴの一番上に積まれたパンツを\(p_k\)とする.

次の日,お風呂に入る.お風呂を出た私はカゴの一番上にあるパンツ\(p_k\)を着て,使用済みパンツである\(p_j\)を洗濯する.このとき洗濯する(私の)パンツは\(p_j\)1枚である.洗濯し乾いたパンツ\(p_j\)をカゴに入れる(この日の活動をSTEP 1と呼ぶ).

また次の日,お風呂に入る.お風呂を出た私はカゴの一番上にあるパンツ\(p_j\)を着て,使用済みパンツである\(p_k\)を洗濯する.このとき洗濯する(私の)パンツは\(p_k\)1枚である.洗濯し乾いたパンツ\(p_k\)をカゴに入れる(この日の活動をSTEP 2と呼ぶ).

さらに次の日は,STEP 1に戻ることになる.そしてSTEP 2,STEP 1という流れが繰り返される.つまり,パンツは合計\(N\)枚あるにもかかわらず,私は2枚のパンツのみを毎日交互に履き替えていることになる.

ミニバッチ学習

及川賢治・竹内繭子作の「まるさんかくぞう」という絵本がある(出版社:文溪堂 ).上の写真のように,1ページごとに3つのオブジェクトの名前と絵本が描かれている.

  • さんかく,ぞう,まる
  • ぞう,ぞう,しかく
  • さんかく,まる,しかく

といった調子である.この構成が絵本の最初から最後まで続く.ちなみにこの本に登場するオブジェクトは「まる」「さんかく」「しかく」「ぞう」「とり」「かお」「ぼうし」「ふね」「ばす」「れもん」の10種類である.

子どもはこの絵本をめくる毎に3つのオブジェクトを見て,3つのオブジェクトが何かを読み手から音で聞く.オブジェクト認識のためのルールを学習するために,バッチサイズが3のミニバッチ学習を行うのである.

絵本の作者が各ページに配置するオブジェクトをどのように決めたのかは分からないけれども,各バッチには子どもが楽しみながらも効率よくオブジェクト認識ルールを学習できるよう,巧い具合にオブジェクトが選ばれている(ような気がする).

世間は深層学習が大流行りだが,子どもたちの学習が楽しく効果的に進むコンテンツを作るために,機械学習をうまく利用するといった事例があっても面白いと思う

熱量

三島由紀夫 vs 東大全共闘 – 50年目の真実」を観に出かけた.期待していたとおりの内容で,討論の全内容を聴けたわけではないが,2時間程度の時間で歴史と三島由紀夫の天才ぶり,ユーモアを楽しめた.内容はネタバレになるので書かないが,内田樹氏の語る三島コメントが印象的だった.

昔から全共闘の活動の歴史に興味を持っていた.当時の学生運動に参加していた学生の「熱量」に魅せられるのである(同時に,運動に関わらず冷めた目で運動を見ていた学生にも興味がある).なぜ当時の学生はあそこまでの社会変革に熱量を持てたのだろうか.もちろん時代背景もあるのだろうが,今の時代の学生(そして僕)は当時に負けないくらいの熱量を持っているだろうか.今の学生(そして僕)が当時にタイムスリップしたら,同じような熱量を持てただろうか.

熱を帯びなければならない.

水筒の蓋

水分をこまめに取れるように水筒を購入した.ドウシシャのmoshという商品である.水筒なのに牛乳瓶のような形をしているところがなんとも愛らしい.機能としては一般的な水筒と同じく保温機能があるだけで,蓋を取って水を入れて飲む.それだけである.

機能的にも見た目的にも十分満足なのだが,一点だけ気に入らないのが「蓋に印字された文字」である.蓋のてっぺんにデカデカとびっくりマークが書かれているのだ.これさえ無ければパーフェクトだったのに…

なぜびっくりマークなのか?牛乳瓶のような姿をしているのに,手に取って開けてみるとそれは水筒だから?その驚きはびっくりマークの印字で表現しなくても,手に取った人が体験として驚けばそれで良いと思うのだけど.説明してしまったらナンセンス.短歌と同じである.

浜松にある凱旋門

夏の暑さから逃れるために,引佐の渋川を訪れた.その帰り道,林道の脇に雰囲気のあるレンガ造りの門が立っていることに気付いた.ぼけーっと車で走っていると気付かないくらいひっそりと立っているのだが,明らかにオーラが違う.車を一瞬止め,名称があるかを確かめ見ると,この遺構が「凱旋記念門」であることが分かった.

この凱旋記念門.日露戦争を記念して,この地に建てられたそうだ.いわゆる凱旋門である.明治時代,日本は欧米列強に追いつくべく,富国強兵を推進し,日清戦争・日露戦争といった軍事行動を行ったが,当時は戦争勝利を記念して日本各地でこのような凱旋門が作られたそうだ.ところが,アーチ型の凱旋門として現存しているのは,鹿児島は姶良市にあるものと,ここ浜松は引佐の凱旋門の2つのみ.大変貴重な歴史遺構である.

引佐の渋川という地区はサワガニが生息するようなきれいな川をもつ山村で,人気(ひとけ)はあまりない.こんな小さな山村でも凱旋門が建てられたことから,当時の日本がいかに日露戦争の勝利に沸き立っていたのか,その高揚感が伝わってくる.

もやしとフォアグラ

夏休みの「子ども科学相談」のラジオで「もやし」についての話があった.まったく知らなかったのだが,「もやし」とは穀類や豆類の種子を人為的に発芽させた新芽の総称を表すものだそうだ.てっきりトマトや茄子のように,もやしという名称の野菜があるのかと思っていた.

科学相談の内容は,「もやしがどのようにできるのか」についてであった.植物は光合成をするために光が必要となるが,土の中で発芽した植物は光を得るために地中に出る必要がある.そのため,植物は茎を伸ばすのである.もやしはこの性質を利用し育てられる.光を与えないよう暗室で育てることによって,葉も出させず色も付けさせず,茎だけ伸ばさせる.もやしとしては,地中に出て光を浴び,光合成をするがために,種子に蓄えられた限られたエネルギーを使って必死に茎を伸ばす.私たち人間は,もやしが食べたいがため,己の欲望のために,もやしに酷な仕打ちをするのである.

どこかで聞いたことのあるような話である.フォアグラである.フ脂肪肝をもつガチョウを育てるために,強制給餌を行う.フォアグラに反対する人はベジタリアンが多いという記事もあるが,捉え方によっては,もやしの作り方はフォアグラ反対派のベジタリアンにも割とショッキングではなかろうか.

 

用が済んだら忘れられる存在

まわりに石っこひとつないこの場所にこんなデカい石が置かれているということは,何かを支えたり挟んだりするために誰かが持ってきたのだろう.

使い終えたら,使う前はすごく意識していたことを忘れられてしまう悲しさ.用済み切り捨て.怖いなぁ.

The Vannevar Bush Best Paper Award 授賞

デジタルライブラリに関して最も権威のある国際会議であるJCDL2020において発表した下記論文が,the Vannevar Bush Best Paper Awardを授賞しました.

Yusuke Yamamoto and Takehiro Yamamoto: “Personalization Finder: A Search Interface for Identifying and Self-controlling Web Search Personalization”, Proceedings of the 20th ACM/IEEE on Joint Conference on Digital Libraries (JCDL 2020), pp.37-46, China, Xi’an, August 2020 (Full Paper 33/106 = 31.1%).

The Vannevar Bush Best Paper AwardはJCDL2020で発表された査読付き論文のうち,最も優れた論文に与えられる賞です.

発表時のスライドはコチラから閲覧可能です.

JCDL2020で研究成果を発表

8月1日から5日にかけて開催されているJCDL2020(The 20th ACM/IEEE on Joint Conference on Digital Libraries)にて下記論文を発表しました.この研究は兵庫県立大学社会情報学部の山本岳洋准教授との共同研究の成果です.

Yusuke Yamamoto and Takehiro Yamamoto: “Personalization Finder: A Search Interface for Identifying and Self-controlling Web Search Personalization“, Proceedings of the 20th ACM/IEEE on Joint Conference on Digital Libraries (JCDL 2020), pp.37-46, China, Xi’an, August 2020 (Full Paper 33/106 = 31.1%).

発表スライドは以下となります.