発表資料や論文を書いているときに数学の記号の使い方に困ることがある.授業や教科書で何となく数学記号には触れてきたが,よく考えると数学記号の使い方に関して厳密に習った記憶がない.記号の使い方を間違っていると発表資料や論文を読まれたときに「正しい数学記号の使い方知らないのね」なんて思われたら損である.そこでWebやら書籍やらを調べて数学記号の使い方をまとめてみた.独自に調査した内容なので間違いがあればぜひ指摘して欲しい.
原則
- 数学記号として用いるアルファベットは原則としてイタリック体を用いる
- 略語に由来する複合数学記号(一般的に定義されている関数),数値が一般的に定められている定数,微分記号は直立体で表現する
- (理由)イタリック文字を使って関数などを表現するとアルファベットが個々の数学記号と誤解されてしまう
- (例)dimV は 記号 d, i ,m, V の積と解釈されてしまう
数学記号の表記法のまとめ
- 変数:小文字 + イタリック体
- a, b, c, d, e, x, y
- 行列:大文字 + イタリック体 + 太字
- A・B = C
- ベクトル:小文字斜体 + イタリック体 + 太字
- v = a + b
- 数字:直立体
- (例)123, -100, 34.56
- 集合:大文字 + イタリック体
- 集合の要素:小文字 + イタリック体
- (例)a ∈ A
- 自分で定義した関数:小文字(?)+ イタリック体
- (例)f(x)
- 略語に由来する複合数学記号(一般に定義されている関数):直立体
- (例)sin, cos, div, log, exp, max, min, argmax
- 一般に定義されている集合:大文字 + 直立体 or 特殊記号
- (例)実数 R(or mathbb{R}),有理数 Q(or mathbb{Q}),整数 Z(or mathbb{Z})
自然数 N(or mathbb{N}),複素数 C(or mathbb{C}) - 教科書によっては斜体が使われていることもある
- (例)実数 R(or mathbb{R}),有理数 Q(or mathbb{Q}),整数 Z(or mathbb{Z})
- 微分記号 d:小文字 + 直立体
- 数値が一般的に定められている定数:直立体
- (例)円周率 π,虚数 i
- (例)x, y, z, a, b, c
おまけ(角括弧)
- 角かっこには不等号を使ってはだめ(例: <x, y>)
- <x, y>は$langle x,y rangle$と書くべき