情報学の研究者で,アート門外漢な僕がアートに関心をもった理由.それは,アートそのものよりもアーティストの生き様にある.既成概念にとらわれず,新しい世界観をまっすぐに表現しようと格闘するアーティスト.そんなアーティストの生き様が,僕はとても好きだ.
ところで,アーティストと研究者との間に,僕はある種の類似性を感じている.研究者にもさまざまなタイプが存在する.(1)真理を探求を目指す研究者.(2)社会問題の解決を目指す研究者.そして,(3)新しい世界観を創造し,それを世に問う研究者.アーティストの考え方に触れるたびに,フィールドや表現方法が違えど,(特にタイプ(3)の)研究者とアーティストとの間に共通の生き様を感じるのだ.
アーティストと研究者.一見すると異なるものであるが,互いの活動に新しい刺激を与えうる可能性があるのではないか.アーティストとの交流によって,研究者の考え方,発想が刺激される.その結果,既成概念を打ち破り,世に新たな価値をもたらす研究が生まれる — 僕はそれを密かに期待している.研究のタコツボ化が進みつつある今日だからこそ.
未来社会の多様性を高めるクリエイティブな研究・アート活動を促進するためにも,アーティストと研究者が集う場をARTLOGUEが作るというのもありかもしれない.
※ この文章は,山本が理事を務める一般社団法人World Art Dialogueのメールマガジンのコラムに寄稿した原稿です(ARTLOGUE mag No,0014).