ウェブ検索結果の信憑性判断支援

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タイトル

ウェブ検索結果の信憑性判断支援(論文をダウンロード

発表場所(日時)

WebDB Forum 2010(2010/11/13)

アブストラクト from Paper

本稿では,ウェブ検索結果の信憑性判断を支援するシステムを提案する.提案システムは,信憑性判断支援を行うために以下の3つの機能を提供する: (1)ウェブ検索結果に対する信憑性の主要判断指標毎のスコア分析および分析結果の可視化,(2)検索結果への信憑性フィードバック情報に基づくユーザの信憑性判断モデルの推定,(3)推定されたユーザの信憑性判断モデルに基づく検索結果の再ランキング.通常,ウェブ検索の検索結果にはタイトルやスニペット,URL情報しか掲載されておらず,ウェブページの信憑性を判断する材料に乏しい.またウェブ検索のランキングアルゴリズムはユーザの情報要求に対する適合性やウェブページの人気度に基づきランキングされることが多く,信憑性を考慮したランキングは提供されていない.提案システムを利用することにより,ユーザは信憑性指向のウェブ検索が可能となる.

思ひ

一般的に「情報の信憑性 = 情報の正しさ,真偽」と捉えられがち.しかし1950年代から社会学の分野で行われてきた信憑性研究によると「信憑性は情報を受け取る人によって認知される特性」であると述べられている.

信憑性研究にこだわってきた僕は,「情報の信憑性っていうのはそれを受け取る人によって基準が違う.だからある人にとっては信用できる情報でも別の人にとっては全く信用できないってこともありえる」ということをここ1年間ずっと言い続けてきた.だけど,僕の周りの情報科学屋さんにとってはきちんと計算モデルに表せないふにゃふにゃした定義はお気に召さなかった.よく分からない計算モデルを作ってそれを信憑性分析方法だと主張する.信憑性が重要になりそうなドメインを絞り込んで,”正解”セットベースの評価をして精度 X %が出ました,的な話ができれば信憑性研究としてはメデタシメデタシ,というのが彼等のスタイル.

最近のウェブ研究でもTrustというキーワードがSNSや推薦の文脈でちらほら出てくる.これに関しても「信憑性とは○○の要素をみたす」と定義してそれを計算モデル化して評価するものがほとんど.これらの研究では「著者が”勝手に思い込んでいる”信憑性基準 = みんなにとっての信憑性基準」 になってしまっている.これでは本質的に信憑性を扱えない.こういう考えのもとで作られたシステムを使った場合,ユーザには押し付けの分析結果が出されるだけで,ユーザは各々にとって信憑性があると感じられる情報を取得できない(と思う).

“自称”信憑性研究者である僕は,情報学研究に社会学の要素を取り込み,真に信憑性指向の情報検索を実現したかった.色々なことがあってなかなか手をつけられなかったが,ようやくこの論文で取り組み始めれたなかなぁと思う.全然時間をかけることができなかったが博士課程の研究の中で一番好きな研究だ.