ノスタルジックな当たり屋情報

連休をまったり過ごしていると、妻の職場から妻に電話がかかってきた。「浜松市に当たり屋集団が来ているから気をつけてください」とのことだった。てっきり仕事の電話かと思っていたのに、仕事とはまったく関係のない内容だったから拍子抜けだった。こんな内容をなぜわざわざ職場が連絡してくるのかに関しても違和感を覚えたが、いかんせん内容が胡散臭い。情報ソースについても不明。そもそもドライブレコーダーがある今日、当たり屋なんて仕事になるのか。

すぐさま浜松市ホームページや警察のホームページを見たが、何も情報はない。Twitterで検索してみると、「浜松市に当たり屋が来てるから気をつけて」的なツイートが散見された。危険なナンバープレートの一覧が記された怪文書の画像もアップされている。ますます胡散臭い。

ウェブ検索で当たり屋を調査してみた。どうやら昔からあるデマ情報だそうだ。80、90年代年代に出回ったデマらしい。案の定、怪文書の内容もよく似たものだった。なぜ、今このタイミングでこのデマ情報が流れるのか、発信源はどこだったのかだろうか。立命館大学サトウタツヤさんの調査によると、この当たり屋デマ情報は数年に一回程度発生しているそうだ(サトウタツヤさんのHPの見た目が良い。見た目で判断するな、というメッセージを勝手に受け取りました)。

今回の当たり屋情報が最終的にTrueかFalseなのかは分からないが、いつの時代も変わらず、人はデマっぽい情報に振り回されてしまうのかと思うと、どっと疲れた。これだけインターネットが発達しているのだから、すぐに調べられるはずなのに… やっぱり情報を読み解く力は向上していないのか。今も昔もそう変わらないのか。それでいて、インターネットの利用は拡大しているから、余計にタチが悪い。根深い、根深い。

追伸:
今朝浜松市のホームページを確認したら、「当たり屋情報については浜松市では把握していない」という通知が出ていた。

信頼性とコンピュータ

情報学の分野で情報の信憑性を調べていると、必ず名前が出てくるのはスタンフォード大学のB.J. Fogg氏。学生時代はFogg氏の論文や書籍を読んでは信憑性に関する理解を深めてきた。

信憑性あるいは信頼性に関する文献はいろいろある。このトピックに関する研究は、50年以上前に心理学やコミュニケーションの分野から始まった。一方、情報の信憑性やウェブサイトの信頼性に関しては、Fogg氏の研究にまず当たるのが良いと思う。どんな知見があるか手っ取り早く知りたい場合、Fogg氏の著作「実験心理学が教える人を動かすテクノロジ」を読むのが良いと思う。

以下は「実験心理学が教える人を動かすテクノロジ」の第6章「信頼とコンピュータ」を簡単にまとめたものである(一部、別のソースからの引用も入れている)。 Continue reading “信頼性とコンピュータ”

【Credibility for the 21st Century】6.「情報ソース = 組織」である場合

組織の信憑性(organizational credibility)

  • 会社や団体といった組織(organization)着目した情報ソースの信憑性に関する研究も行われてきた.
  • 組織を情報ソースとする信憑性研究では,顧客の態度や行動に影響を与える要因解明が行われてきた(Gass & Seiter 1999).
  • 広告やマーケティング分野の文脈では,企業の信憑性(corporate credibility),団体の信憑性(institutional credibility),広告主の信憑性(advertiser credibility),小売業者の信憑性(retailer credibility)が研究されてきた.
  • 企業信憑性 = 「顧客や投資家が企業の信頼性や専門性をどの程度信用するかの度合い」(Goldsmith, Lafferty and Newell 2000)
  • 組織の信憑性の背景には,メッセージというものは個人ではなく,むしろ長年の経験や情報を持つ複雑な組織構造から発信されるものである,という考え方がある.

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【Credibility for the 21st Century】5. 情報ソースの信憑性に係る様々な要素

様々な要素

  • 1960年代から1970年代の情報ソースの信憑性に関する研究では,メッセージの受け手に信憑性を感じさせる要因の解明に力点が置かれた.
  • 研究者の多くは,信頼性(trustworthiness)と専門性(expertise)が情報ソースの信憑性に係る2大要因であることを明らかにしたが,その他にも力強さ(dynamism)や落ち着き(composure),社会性(sociability)といったものも情報ソースの信憑性に影響があることを明らかにした(Berlo, Lemert, & Mertz 1969,Gass & Seiter 1999, Jurma 1981, McCroskey 1966, Perloff 1993, Whitehead 1968).
  • 情報ソースの信憑性の研究においては,メッセージの受け手に信憑性があると思われる話者は「専門能力あり,信頼感(正直さ,真っ直ぐさ)があり活気があり,落ち着きがあり,気立ての良い人」とされる.

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【Credibility for the 21st Century】4. 情報ソースの信憑性

情報ソースの信憑性の定義

  • 情報ソースの信憑性の定義:「メッセージの発信する人間を信用するかに関する受け手側の判断」(O’Keefe 1990, Wilson & Sherrell 1993)
  • 情報ソースの信憑性に関する研究は1940年代に始まった.情報ソースの信憑性は説得力のある話者の特性として研究が進められた.
    • 信憑性は第2次世界大戦中に生まれた学問である.アメリカ合衆国政府は,大衆の戦争に対する支持を得るための方法として信憑性に着目.
    • Carl Hovland @Yale大学が「説得理論」の構築を目指し,コミュニケーションと態度変容に関する研究をスタート.

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【Credibility for the 21st Century】3. 信憑性研究の歴史

歴史

  •  信憑性に関する研究は「説得プロセス」における要素として注目されて研究が始まった.
  • 当初は,個人や組織の説得に与える要因として情報ソースの信憑性(source credibility)に着目して研究が行われた.
  • 2番目の要因として注目されたのは,情報ソースから発信された「メッセージ自身の信憑性(message credibility)
  • 他にも,特定の情報媒体に着目して情報媒体の信憑性(media credibility)を相対的に分析するという試みも行われた.

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【Credibility for the 21st Century】2. ウェブ情報の特徴

ウェブ情報の特徴1: ゲートキーパーの不足

  • 新聞や書籍,雑誌,テレビなどは,一定レベルの事実確認,内容のチェック,編集チェックを受けている.
  • 同様のチェックが,ウェブ情報に対して必ずしも行われているわけではない.
    • 「オンライン新聞サイトや有名なポータルサイトは内容のチェックを受けている」という声もあるだろうが,そういうサイトは広大なウェブ世界ではむしろ少数派.
    • ウェブ情報の大半は非公式な情報であり,どの程度内容の精査がされているのかは不明.
    • 内容チェックを受けなくても情報発信できるということが,正確な情報をウェブで発信しなければという社会的なプレッシャーを低減させる(Jonson and Kaye 1998)

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【Credibility for the 21st Century】1. イントロダクション

ウェブの出現により問題になりつつあるオンライン情報の「信憑性」

  • ウェブの登場によって多様な情報に簡単にアクセスできるようになった.
  • ウェブ上には不正確であったり,偏った情報が存在する(Caruso 1999,GomdaWeb 1998, Shaw 1998, Sundar 1998,Null 2000,Ward 1997)
  • だからこそ,既存のメディアとは異なる情報のコントロール,評価,検証が必要となる.
  • ウェブ情報の信憑性に関する問題は研究者にも認識されつつある.

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風評被害に苦しむ私:切り取り,編集され,ねじ曲げられて伝えられた声

先日,なぜか産経新聞から電話インタビューされた.後日編集された内容が産経新聞に掲載され,その内容が物議を起こしているようだ.山本はTwitterやら某掲示板サイト(例1例2)で激しく非難されている.

実際に発言した内容に非難・批判があるのなら受け入れる.しかし,山本の真意ではないことが新聞や某掲示板に掲載され,それに対して非難囂々なのはかなり気分が悪い.このページでは事実を伝えたい. Continue reading “風評被害に苦しむ私:切り取り,編集され,ねじ曲げられて伝えられた声”