叩かれた
運が悪かった.普段は研究室の人間さんが気付かないように,うまく下界顔出したりしていたんだが,今日は見つかってしまった.研究室のみなさん,というか世の中一般的に僕らを嫌う.今回も僕を見た瞬間,Yさんが叫び声を上げた.
あんまりにもYさんの声が出かかったので僕は飛び上がった.普段は地面にはいつくばってカサカサと移動するもんだが,そうも言ってられない.あんまり使わない翼を使ってYTさんの引き出しの上にまで移動した.
あんまり普段しないことをしたもんだから,さらにYさんがビックリして
「OさんOさん,あいつ飛んでますよ!めっちゃゆっくり飛んでるし,気持ち悪い・・・」
なんて言って発狂している.おいおい人間さん,そんなにびっくりしないでくださいよ.僕だってたまには飛びます.
Oさんが動いた.僕を抹消しようと動き出したのだ.人間さんも僕らを見たときに2パターンの行動を取る.一つはYさんのように阿鼻叫喚な感じでがくがくしているだけの人,もう一つはOさんのように僕らを抹消しようと勇猛果敢に戦いを挑む人だ.
Oさんは僕を逃がさないようにと,じりじりと僕を追い込もうとしている.しかしまだ僕は優勢.なぜならば僕は彼らの攻撃が届きにくいポジションをキープしているからだ.そう思っていたらOさんが変なスプレーで僕を攻撃してきた.特に痛みはないが,勢いがつよすぎる.我慢できなくなった僕は場所を移動せざるを得なかった.普段使わない翼を使い,再度飛んだ.すると今度はOさんまで叫びだした.「あいつ飛んだよ!しかも何であんなにゆっくりと!気持ち悪い!」
最終的に僕はAクンの机の角に逃げ込んだ.まずい,これはもう追い詰められてしまった.ここまでくるともう相手が僕のことを忘れるまでひたすらここで耐え続けるしかない.でも彼らは絶対僕のことを忘れはしないだろう!なぜならば僕は嫌われ者で,人間さんとは共存しにくいからだ.がくがくぶるぶる.
最後が近いことを悟りながらも奇蹟が起こることを祈っていたのだが,またOさんがスプレーで僕を追い出そうとしてきた.もう逃げざるを得ない.僕はうかつにもOさんの間合いに入ってしまった.しまった!
そう思ったときにはもう遅かった.新聞紙を片手に身構えたOさんが一瞬目に映ったが,気付いたときにはもう僕はすごい打撃を食らっていた...立ち上がれない.身動きができなくなった僕をOさんは割り箸でつかみ,最後は紙で包まれて,ガムテープでくるまれて,葬られた.長い戦いだった.

